日々翻訳

出版&映像翻訳:川岸 史 ドイツ語と英語の翻訳をしています

「ぱどっく」

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「ぱどっく」という、JRAピーアールセンターから発行されている冊子に、コラムが掲載されました。2018年3月発行。

 

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馬と父にまつわる思い出話を書いています。
フリー冊子なので、機会があれば、お手に取って読んで頂けると嬉しいです。

 

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 現在「通訳 翻訳ジャーナル」で連載中のものについてもそうなのですが、小学生の頃から新聞や週刊誌に載っているコラムというものが大好きだったので、こうして大人になって自分が書く側に回っているというのが、本当に不思議な感じです。

 

しかしなんというか、自分は本当に運が良かっただけだな、とも思います。
JRA馬事文化賞を頂いたことで、こうして文章を書かせて頂いたり、東京競馬場の来賓席に招待して頂いたり、大好きな騎手の方々にサイン入りの訳書を貰って頂く機会に恵まれたりと、楽しいことが沢山ありましたが、これは本当に、ただ、ただ、運が良かっただけ。

 

翻訳者というのは、小説家や漫画家と違って、賞をもらうことは殆どありません。
日本翻訳大賞など、近年いくつかの賞が開設されましたが、それもやはり数が少ないですし、どんなに上手い訳をやっても、たいていは賞をもらう機会なんてないのです(とくに私が出版分野で訳しているのは文芸ではなくノンフィクション・実用書系なので、ますますそういったものとは縁がありません)。

 

授賞式では、審査員の方々がとても優しくて、「滑らかな日本語が良かった」等と褒めて頂きましたが、しかし自分の訳者としてのレベルは正直ごく普通、平均レベルです。

それどころか、「へたくそ!」と怒鳴られたことも数知れず……。

 

 

その程度の私がそう言ってもらえたということは、つまり翻訳者全体のレベルが上がっているということなのではないか。
ひと昔前は、翻訳物は読みづらい、原文を読んだ方が早いなどということもありましたが、現在ではそういったことは殆どない。
そういうことがないようにと、訳者や編集者やさまざまな人々が努力しているためです。

 

それはもちろん、訳すときには頑張りました。
少しでも読みやすく、分かりやすくなるように、全力を尽くしました。
国会図書館に通って参考文献を調べたり、何度も類語辞典を引いて表現を考えたり。
友達と遊ぶ時間や見に行くはずだった芝居のチケットなどを犠牲にして、一心不乱にやりました(遊ぶ時間も確保できてこそ一人前だとは思いますが、最近の案件はどれも納期がきついのでやっている間は殆ど余暇の時間はとれません)。
しかしそんなことは、翻訳者ならみんなやっていることなのです。
多くの訳者が、読みやすく分かりやすくしかもミスのない訳文にしようと力を尽くしている。
こんなに上手い訳をやるのかと驚くような方々、心から尊敬できる方々が沢山います。
それでもそういった方々ではなく普通レベルの私がこういう機会に恵まれたというのは、運が良かったのと、周りの方々のおかげです。

 

読み返してみると、なんだかものすごく優等生ぶった、いい子ぶった文章だな……と自分でも辟易してしまいますが、しかし本当にこう思うのです。
だからこれからも慢心せず、慎重に、丁寧に仕事をしていきたいと改めて思っています。