日々翻訳

出版&映像翻訳者・川岸 史の仕事情報を掲載するページ。ドイツ語と英語の翻訳をしています。

腹ぺこフィルのグルメ旅

 

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Netflixにて配信中。

シーズン1の4話と6話の吹替(ボイスオーバー)翻訳を担当しました。

「2017年度JRA賞馬事文化賞」

昨年に上梓した訳書「世界で一番美しい馬の図鑑」が、

「2017年度JRA賞馬事文化賞」を受賞しました。

「2017年度JRA賞馬事文化賞」が決定! JRA

 

headlines.yahoo.co.jp

ヤフーニュースにも初めて載りました。

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とても嬉しいのですが、なんだか実感がありません。

ふわふわしているというか……。

それに、そもそもの著者はタムシン・ピッケラル氏とアストリッド・ハリソン氏。

私はただ翻訳しただけなので、ここで大手柄でも立てたかのように何か言うのは無粋ですよね。

 

それでも、馬事文化の発展にほんの少しでも貢献できていたなら、こんなに嬉しいことはありません。

 

馬を見るために、地元の浦和競馬場にも(本場開催のときは)足を運んでいますし、浅からぬ縁を感じて不思議な気分です。

 

それにしても、私はもともと動物と植物が好きで、遊びに行くといえばサファリパークや動物園、植物園などについ足が向いてしまうのですが、振り返ってみると訳書や訳した映像作品には動物に関連したものが多いような。

 

やはり好きなものとは自然と縁ができるようになっているのでしょうか(訳者は「これを訳したい!」と自分から作品を選べるわけではなく、たまたま依頼が来た作品の中にそういう傾向のものが多かったということなので)。

 

通訳翻訳ジャーナル2018年1月号

通訳翻訳ジャーナル 2018年1月号

コラム連載第三回目が掲載されました。

 

今回は、字幕と吹替の、表現の違いについて書きました。

 

担当編集者様からも「今までで一番良い原稿ですね」と言ってもらえた回です。

書店にお立ち寄りの際は、ぱらっと立ち読みでもしてくださると嬉しいです。

 

ドイツ語を選んだ理由

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なぜドイツ語を勉強したのかと聞かれることがときどきあります。

 

私の通っていた女子校では一年次にフランス語が必修であったので、とくに高校時代の友達はその後もフランス語を勉強することが多く、独文科を選んだ私は「なぜ?」と疑問を持たれることがとても多かった。

 

たしかにフランス語の方が圧倒的に美しい響きを持っているし(ドイツ語は馬と軍人の言葉とも呼ばれる)、フランス文化も素敵だし、普通の女の子なら独文科よりは仏文科を選ぶだろう。

 

でも私には、独文科を選んだ理由が明確にありました。

 

高二のときに、マレーネ・ディートリッヒの映画を観て彼女に惚れこんだため、大学では彼女について研究したいと思ったからです。

 

間諜X27』という映画で、間諜に向いてるかどうか試される場面でディートリッヒはこう言います。

「生きることは怖くないわ。死ぬことも」

 

私はこのシーンを見た瞬間、雷に打たれたような気持ちになりました。

 

こういう場面では「死ぬことなんて怖くないわ」というのがセオリー。「生きることは怖くないわ」と言って、そのあとから付け足すように「死ぬことも」なんて、そんなことを言ってのける人を見たのは初めてだったからです。

 

でもそのとき初めて気がついたのですが、私は当時、生きるのが怖かった。

 

ところがスクリーンに映る彼女は自分の思う通りに動き、何者をも恐れない。

生きたいように生き、あっさりと死んでいく。

そんな彼女が、ものすごく格好良く見えました。

 

映画の台詞に感動したのだから、監督か脚本家に感謝すべきですが、何しろ彼女が言ったことに説得力がありました。だから彼女の存在が私の胸をぐっと掴んだのです。

 

その後彼女の私生活について調べてみると、とにかく自由奔放に動き、また愛のために生きた人なんだということがよく分かった。自分に自信があって、やりたいように生きた人なんだなあ、と思いました。

そのせいで周りが迷惑することも多々あったと、娘のマリア・ライヴァは書いていますが、私はそれを読んでなんだかほっとする部分もありました。

 

その後大学に入りドイツ語の勉強を始めてみると、ドイツ語自体が厳格で合理的だということが分かりました。そしてそれはまったくドイツ人の性質を反映しているように思えました。

文法が難しいといわれますが、裏を返せばそのルールさえ踏まえていれば読み間違えることはない、ということ。だからかえって英語の方が、例外が多くて、どういう意味なのか捉えるのが難しかったりする(同じ言葉でも文脈によって意味が違ったりする)。でもドイツ語ではそういうことはあまりありません。

そういう性質も、自分に合っていたような気がします。

なろうと思った理由

「なぜ翻訳者になろうと思ったの?」と聞かれることがときどきあります。

たしかに不思議といえば不思議なもの。

それについて、昔を思い出しながら少し書いてみることにします。

 

私が初めて翻訳者という職業を身近に感じたのは、大学一年生のとき。

英語の授業中のことでした。

そのとき確か前後に座っている者同士でペアを組み、お互いを英語で表現しあうという授業内容で、そのときペアを組んだ女の子が「将来は映像翻訳者になりたいんだ」と言っていたのです。

 

「えいぞうほんやくしゃ……って何?」と私は聞いたような気がします。

彼女はこう答えました。「ほら、戸田奈津子さんみたいな。映画に字幕をつける人」

「ああ! 戸田奈津子さんなら知ってる!」

「なるのは難しいと思うけどね。字幕翻訳って一年間に400本くらいしか仕事がなくて、それを20人の翻訳者で分け合ってる状態なんだって」

「てことは、日本に20人いれば事足りるってこと?」

「そうなの。狭き門でしょ。でもね、なりたいから頑張るんだ」

まさか自分がそれを目指すことになるとは、当時は思ってもみませんでした。

ただこのとき、「翻訳者を進路のひとつとして考えてもいいんだ」という種が私の中に蒔かれました。

 

それから毎日映画を観たり自主映画製作に参加したりといった日々を送っているうちに、あっという間に三年の秋冬になり、周りの友達が就活を始めたころ、ようやく私は「仕事どうしよう」と考えはじめました。

当時は就職氷河期で、とにかく就活が大変だと先輩達から聞いていたので、自分がそこに参戦したところでどうにもならないだろうという気がしていました。

とはいえ何かしらの仕事には就かないといけない。

でも自分に何ができるのか分からない。

 

うんうん唸りながら考えた結果、とにかく何でもいいから映画関係の仕事に就きたいと思いました。映画が好きだったからです。

でも配給会社は大手しか新卒をとってないからまず無理。では邦画の現場に入ってスクリプターや車輌やヘアメイクや小道具といった何かしらの仕事に就く? 私にその道の適性があると思えない。では映画関連書籍を発行している出版社、たとえば大好きなシネレッスンシリーズを出しているフィルムアート社はどうだろう……ってそこも新卒募集してない。

 

そんなことを考えているとき、当時映画を観るためよく訪れていたアテネフランセ(最上階がミニシアターになっている)で、たまたま映画美学校の字幕講座のチラシを見つけました。庵野秀明ばりの極太明朝体で「字幕翻訳者養成講座」と書かれていて、妙に迫力がありました。

 

席につき、上映開始を待つ間、そのチラシをじっと見つめながら考えたのはこんなことです。「イギリスとドイツに(短期だけど)留学したから、英語とドイツ語は多少できる。実力的にはまだ足りないだろうけど、今から死ぬほど勉強したら、もしかしたらずっと映画のそばにいられるのかもしれない」

 

そのあとすぐに申し込みの電話をしたのですが、確かそのとき一月か二月で、四月始まりのその講座は定員に達して募集停止していました。

 

「人気があるんだなあ」と思いつつキャンセル待ち希望の旨を伝えると、しばらくしてから一人分キャンセルがあったので入れるとの連絡が。

 

そうして大学四年の春から、その字幕講座に通うことになりました。

 

インベカヲリ★個展『車輪がはけるとき』

インベカヲリ★個展『車輪がはけるとき』

@神保町画廊

www.timeout.jp

 

少し前に、インベさんに写真を撮って頂きました。

そのときの写真が、2017年5月に神保町画廊で開かれた個展で展示されました。

インベカヲリ★-photo gallery-

 個人的に大好きな写真家であるインベさんに撮って頂けて感無量でした。撮影はかなり寒い雨の日で、しかも川の中に浸かってばしゃばしゃ泳いだのですが、その後森の中を駆け回っている時の方がいいものが撮れたという……。

 

 

 

「えんどう豆号のローラ」

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kineko.tokyo


「えんどう豆号のローラ」

キネコ国際映画祭にて上映予定

11/5の16:15~

@ 109シネマズ二子玉川

 

 

 

本編の吹替翻訳を担当しました。

原音はドイツ語。

 

 

キネコはもともとキンダーフィルム・フェスティバルといって、ドイツ発祥の映画祭なんです(「キンダー」はドイツ語で「子供」のこと)。

 

だからドイツ映画を上映することが多く、個人的にはそれがすごく嬉しいです。

日本に輸入されるドイツ映画は英語圏のものに比べるとだいぶ少ないので。

もっとドイツ映画を訳したい……この夢を叶えるためにもっといろんな角度から努力していきたいです。

 

しかも今年のキネコでは、例年以上にドイツ映画をたくさん上映します。

 

ミヒャエル・エンデケストナープロイスラー等々、実はドイツは児童文学大国。

私も子供のころはミヒャエル・エンデが大好きで、毎年夏休みになると「モモ」と「はてしない物語」を読み返していました(しかしあれだけ読み返していたのに一番覚えているのがとろとろの甘いホットチョコレートとパリパリのクロワッサンを食べる朝食のシーン……)。